事例:アメリカのベビー商品を日本市場でカルチャライズ

過去携わったアメリカのベビーキッズのブランドの日本進出の例です。

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アメリカと日本、新生児によしとされるアイテムの違い

携わったクライアントのブランドの商材は、生まれて間もない赤ちゃんを包むおくるみ (スワドル)でした。2009年当時、日本ではほとんどそのタイプの商材がありませんでした。

アメリカでは生まれたばかりの赤ちゃんはしばらくおくるみでぎゅっと巻くことを病院でも推奨しており、一般的におくるみは文化として浸透しています。生まれてしばらくの間は、赤ちゃんをおくるみで包んであげると、お母さんのおなかの中にいたような状態になるので赤ちゃんが安心するというものです。

アメリカで出産した私は当時看護師さんが赤ちゃんをおくるみでぎゅっと包むのを見て、赤ちゃんをこんなにぎゅっと包んでいいの?と正直思いましたが、おかげでおくるみされた赤ちゃんはすやすやと眠りました。

おくるみ文化は日本に浸透していない。

初めてそのブランドを日本市場で紹介した際、ある百貨店のバイヤーさんから、「日本では昔、おくるみであかちゃんが脱臼したというような話があったため、おくるみとしては売れない。」と言われました。日本ではおくるみであかちゃんを包むことは推奨されておらず、百貨店としてもそういった商材は取り扱わないと。

様々な販売店のバイヤーさんからは、おくるみとしてではなく、単にブランケットとしてなら売れるかもしれない、と何度も言われたことを記憶しています。

実際、日本の赤ちゃん用の洋服は、欧米と比較して締め付けがないタイプが多いです。あかちゃんの肌着もアメリカでは頭から着させる身体にぴちっとつくタイプが一般的ですが、日本では着脱しやすい着物スタイルの肌着が多かった。

商品コンセプトをその市場にカルチャライズする。

アメリカではおくるみとして認知されているブランドの商品を、当時の日本では、文化的におくるみを強調すると売りにくいため、最初は万能ブランケットとして売り出しました。

日本に売り出す際、西洋文化にまだ憧れもあった日本には、インポート感を出すようあえてパッケージを日本語化しませんでした。本国ブランドにとって、商品はもともと、おくるみとして製造されているため、おくるみの仕方のイラストはパッケージにキープしたままにし、かつ、おくるみ以外に使用できる参考例を分かりやすく伝えるため、ライフスタイル画像をパッケージに入れて改良しました。

ブランドの意向と、おくるみ以外の目的で使用される、日本市場のフィードバックが本国側でも考慮され、ブランド側が日本に似た文化を持つ市場にも合うパッケージの改良に繋がりました。

これは自国のアイデンティティ(アメリカのおくるみ文化)をキープしつつ、日本市場での文化の違いを理解し、商品を使用場面を増やすなどで日本市場用にカルチャライズした一例です。

日本での発売当初、おくるみの取り扱いを拒否していた販売店も多かったですが、今ではほとんどの赤ちゃん用商品を取り扱うお店ではおくるみを販売しており、スワドル(おくるみ)という言葉も広く認知されるようになっています。現在は多くのおくるみ商品が市場に出回っていますが、消費者はベビーカーでのお出かけ時の日よけ、寒さ対策や、お昼寝時のタオルケットとしても使うなど、おくるみとしての使用目的外で購入される方がほとんどでしょう。

市場にあわせた使用方法の提案

異なる国や文化の市場で商品を販売しようとする際、商品そのものをその文化に合わせて変更しなくても、使用場面を変えたり、その市場に合った使用方法を提案することで、商品が異なる文化でも受け入れられることがあります。そして、少しづつその商品の本来の使用方法も定着していくことがあります。

まずは自社の売りたい商品が、売りたい国で受け入れられるかどうか、そのままの商品で売れるのかどうか、チェックしてみてはいかがでしょうか。

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